京都嵐山にある華厳寺。
一年中鈴虫を育てていて、参拝者に鳴き声を聞かせているので、
『鈴虫寺』と呼ばれ親しまれています。
こちらに奉られているお地蔵さん。
お地蔵さんにはめずらしく、ワラジを履いているので、
一軒一軒廻って願いを叶えに来てくれるというお話です。
初めてこの寺を訪れたのは、結婚してしばらく経った頃。
当時、ボクら夫婦は子どもが授かりますようにとお願いをしました。
ほどなくして、我が家に一匹のイヌがやってきました。
道をうろついていた所を保護され、頼まれてうちで預かる事になったのです。
しばらく飼い主を捜しましたが見つからず、うちで育てる事にしました。
そのうちに、まるで子どものような存在になり、ふと思ったのです。
もしかして、あのお地蔵さんが連れてきたのでは?
子どもが欲しいという願いは、叶えられませんでした。
でも、子どものような存在はできました。
その方が、きっと良かったんだと思います。
ボクら夫婦の願いは、聞き入れられたのです。
それから6年、楽しい思い出をいっぱい残して、
あの子は天に戻ってゆきました。
ボクらは再び鈴虫寺を訪れて、お礼をいうとともに、
新しい願い事をしてきました。
はてさて、今度はどんな風に願いを叶えてくれるのでしょうか。